個性的な最新実例を満したログハウス専門誌
   
 
1996年に建築した収蔵庫と寝室。1階にはキッチンがある。寝室はロフトにあり、窓からは海が一望できる。向かって右 に見えるのが増築部分。
 
●退職後は故郷へ長年の夢を現実に
 都会で慌ただしい暮らしをしていると、「田舎でのんびり暮らしたい」と思うことは多い。瀬戸内海に浮かぶ離島で、そんな思いを叶えた人がいる。
  末兼正純さんと南子さんご夫妻 がその人だ。「退職後は故郷でのんびり暮らしたい」との思いを叶えるべく、生まれ育っ た大津島へ、2002年に帰ってきた。末兼さんが帰郷するための準備として取りかかっ たことの一つが、実家の敷地内にログハウスを建てることだった。代々医者であった末兼 さんの実家には、約200坪の敷地に住居と病院が一体になった平屋が建っていた。母屋 はすでに廃屋、家に伝わる貴重な医療器具や文献などを収蔵する部屋と、寝室、キッチン のあるログハウスを建てた。マシンカット・ログハウスの収蔵庫は約3カ月で完成。
  その 後、いよいよ実家を取り壊し、末兼さんご夫妻の住居となる部分を増築したのが1999 年のこと。「住居部分もログハウスにしたのは、木をふんだんに使った家で、自然と融合 した暮らしがしたいと思ったから。また田舎の暮らしは荒っぽいから、家がタフでないと 気を遣うんです。畳や障子の家は傷みやすいから気を遣うでしょう。その点、ログハウス は傷が入っても味になるタフさが魅力だなと思って」大手ゼネコンに勤務していた末兼さ んは、いわば建築のプロ。
  「収蔵庫と増築部分をウッドテラスでつなぐ」という構想を、 設計・施工担当のカントリー工房に伝えたという。カントリー工房では、室内環境をよく するために、ガラスはペアガラスを用い、窓枠は海風による浸食を防ぐため、ステンレス サッシを使用することを提案。
 
●島でボート免許も取得気が向けば水上散歩も
 収蔵庫と増築部分をウッドテラスでつないだ末兼邸は完成。2002年の夏に千葉 から引っ越し、「毎日楽しくて」と、ご夫妻はにこやかに笑う。その大らかな笑顔か らは、故郷での充実した暮らしぶりが伝わって来る。
  「ここで暮らすようになってからは、テレビを見なくなりました。千葉にいたときは、 休日になればコンクリートの箱の中で横になって、テレビをつけて酒を飲むしかす ることがなかったんですが…。同時期に定年退職した仲間は、『平日にゴルフをし て、テレビを見るしかすることがない』と、皆、口をそろえて言います」
  末兼さんを訪ねて、友人たちが数日間宿泊したそうだ。ウッドテラスをはさんでいる ため、お互いに気兼ねなく楽しく過ごせたという。
  「島に来てから船舶免許も取り、ボートも購入しました。友人が来たら釣り船とし て大活躍しています。『またすぐ来るから、釣り竿をキープしておいてくれ』と、言わ れました(笑)
 
●自然に囲まれていると嫌なことなど忘れてしまう
 「島に暮らすようになって、子供たちが頻繁に顔を見せるようになり、孫は喜んで 走り回りますよ」と、言うのは奥様。兵庫県に生まれ、ご主人とともに千葉県で暮 らしてきた奥様にとって、離島での暮らしは生まれて初めて。
  「夜は真っ暗で、フクロウが鳴くんです。最初は驚きました。お買い物のこととか、 不便なこともありますが、自然に囲まれて広々とした場所で暮らしていると、嫌なこ とも忘れてしまいます。そこが田舎暮らしのいいところですね」とも。
  「ここは、私の生まれ育った場所ですから、思い入れは人一倍あります。二人の息 子たちにとっても、思い出の場所になってくれたら嬉しいですね。故郷に、何百年 も歴史を刻める丈夫なログハウスを建て、皆が集まる場所にする。題して『故郷 再生計画』なんです」と、末兼さん。
  海から朝日が昇り、また、海に夕日が沈むのを眺めつつ、夫婦二人で寄り添って暮 らす。時間はゆっくり、ゆっくりと進み、穏やかで優しい空気が流れる。
  そんな暮らしには、どっしりとしたログハウスがよく似合う。
庭にガーデンチェアセットを置き、バーベキューを 楽しむことも。
家の中心に位置するウッドデッキ。テー ブルは、カントリー工房の作品。

大津島は、山口県周南市からフェリーで約30分の場所にある離島。目の前には海が広がり、朝日、夕日が海に沈む光景が美しい。手前は末兼邸の庭。
右:ロフトからリビングルームを望む。 中:リビングルームからキッチンを望む。窓からは海が見える快 適なキッチン。 左:1996年に建築したリビングルーム。ロフトは寝室になっている。暖房は薪ストー ブだけだが、真冬でも十分温かい。「私の一番のお気に入りの場所です。ここで本を読むと心が安ら ぎます」と教えてくれた南子さん。
増築部分のメインルーム。友人が来たときには、宿泊部屋として明け渡している。お風呂とトイレ、簡易のキッチンもある。「お風呂は手入れが楽になるように、ユニットバスにしました」と末兼さん。増築のメリットが、こんなところにも現れている。
ロフトの寝室。窓から海が見える。夜は、月明かりが差し込み、波音を聞きながら眠ることができる。「夕方にはここでお酒を1杯、朝はコーヒーを飲むのが日課です」と嬉しそうに末兼さん。
たくさんのツバメが巣づくりにやってくるため、妻壁側の窓の上に巣受けを作った。

■延べ床面積:64m2 1階48m2 ロフト16m2 デッキ(バルコニー含む):9.2m2
■主構造材の種類:国産スギ(マシンカット)
■構法の種類/丸太組み構法
■基礎の種類:布基礎
■屋根材:カラーベスト
■外壁材:スギ丸太、スギ板(妻壁)
■内壁材:スギ丸太、スギ板
■天井材:スギ板 ■床材:パイン
■総工費:非公開
■工事着工:1996年3月
■完成年月:1996年6月
■建物使用目的:別荘
■延べ床面積:69m2
■デッキ(バルコニー含む):6.8m2
■主構造の種類:国産スギ(マシンカット)
■構法の種類:丸太組み構法 ■基礎の種類:布基礎
■屋根材:カラーベスト
■外壁材:スギ丸太、スギ板(妻壁)
■内壁材:スギ丸太、スギ板■天井材:スギ板 ■床材:パイン
■総工費/非公開
■工事着工年月:1999年4月
■完成年月:1999年6月
■建物使用目的:住宅
■設計・施工 (有)カントリー工房

末兼正純さん、南子さんご夫妻。庭に椅子を持ち出し、こちらのインタビューに快く応じてくださった。ゆっくりと流れる時間と同じように、その語り口も実に穏やかだ。
山口県周南市大津島
末兼邸
家族構成:2人
加工法:マシンカット
延べ床面積:64m2/69m2

ログハウスメーカーズ最新ガイド2004秋冬号より転載