個性的な最新実例を満したログハウス専門誌
   

 
木立に囲まれるように建つ吉田邸。大部分がご主人主導でプランニングされたが、石積みの煙突だけは、奥様の純子さんが希望。デッキから伸びる階段も丸太づくりという凝りよう。
 
   
 
 
家を建てるなら、最初からハンドカットと決めていた

 盛岡市街から車で約30分、小高い山の中腹に、木立に囲まれるように吉田邸は建って いた。「ログハウスに興味を持ったのは一昨年ごろから。結婚を間近にして『家』を意 識するようになり、それならログハウスにしたいと思ったんです」と話し始めた、オーナーの吉田義政さん(29歳)。
  吉田さんがイメージしていたログハウスは、材にレッドシーダーを使い、ダイナミックなノ ッチ組みが特徴のもの。ところがここで問題が。
 吉田さんの希望するハンドカット・ログハウスだと市街地に建設するのは難しい。そこでマシンカット・ログハウスを検討したのだが…。「やっぱりハンドにしたかったんです。イメージもでき上がっていましたし…。だったら建 てられる土地を探そうと、現在の場所を見つけました(笑)。ここなら仕事場のある盛岡市内まで、車ですぐですからね」。建築可能な土地が決まれば、あとは希望どおりのロ グハウスを建ててくれるメーカーを見つけるだけ。
  「案の定、ほとんどのメーカーは難色を示しましたね。こちらも妥協する気はなかったか ら、言い淀むメーカーはお断りしました。最後には、『メンテナンスが大変ですよ』という メーカーには頼まないことにしました(笑)」
  実際に話を進めたメーカーもあったが、最終的には予算の問題で実現しなかった。そん な中で、実現可能な話をしてくれたのが長野ログだった。「もちろん100パーセント希望どおりのものが実現できるとは思っていませんでした。予算という大前提がありましたから。こちらが期待していたのはメーカーの前向きな姿勢。 最初から妥協点を探るんじゃなくて、どうすれば夢が現実になるか一緒に考えましょうと いう話を、長野ログさんはしてくれました。だからこそ、最終的にはレッドシーダーをダグ ラスファーに変更するのもやむを得ないと考えたんです」
  ハンドカット・ログハウスにこだわったのは、何をおいても手づくりの温もりに惹かれた からだ。


ホールから望むリビング・ダイニングスペース。
吉田さんが最も気に入っているのが、このカウンター回り。
照明器具も選び抜いたもの。 

生活感を排除した、遊びの空間を作りたかった
 

  全体的なイメージのほかに、松田さんご夫妻が希望したのは、ロフトと6角形の出窓建 物のスタイルばかりでなく、吉田さんは暮らし方にもはっきりとした考えを持っていた。そ れは、住空間を「遊びの空間」と位置付けること。
  「ハンドカット・ログハウス独特のノッチを見せるために、室内はできる限り間仕切りせ ず、上も下もワンルーム形式にしたいと思っていました。生活感の漂う空間がいやだっ たし、その空間で遊びたかったんです。そこに気に入ったインテリアや小物を飾りたいと思っていました」考えてみれば、ログハウス自体遊びの要素が多い建物。そこに自らの 趣味や嗜好、空間に対する考え方を取り入れるのは至極当然の話だし、逆にそんな考 え方を反映させるためにも、ログハウスは必要だったのである。さらに話を聞いてみると独身のころも部屋の中はこだわりのものでいっぱいだったとか。
  おまけに間接照明を使っていた点も、現在の住まいとまったく同じコンセプトだ。 「そんなわけで、申し訳なかったけど長野ログさんの初期プランはすべて変更させて戴 きました(笑)。『そこまでこだわるなら、自分で建てれば?』なんて言われますが、不器用 だからそれは無理。プロデューサー的な役割のほうが性に合っていますね」
  サイズやデザインに徹底的にこだわったカウンターの天板を撫でながら、吉田さんは、 そう答えてくれた。


上) L字形に回したデッキは、愛犬の遊び場でもある。
右) 透明ガラスで仕切られた浴室。これだけでも開放感が生まれる。照明は調光機能付き。
     
DATE
■延べ床面積:109.25m2 1階64m2 ロフト45.25m2  
デッキ(バルコニー含む):55.25m2
■主構造材の種類:ダグラスファー
■構法の種類:丸太組み構法
■基礎の種類:ベタ基礎
■屋根材:カラー鉄板
■外壁材:ログ表し、シーダー
■内壁材:ログ表し、パイン
■天井材:SPF、パイン
■床材:ラーチ
■総工費:2240万円
■工事着工年月:2005年6月
■完成年月:2005年10月
■設計企業:長野ログハウス建築設計(有)
施工企業:長野ログハウス建築設計(有)
建物使用目的:住宅

 

吹き抜け構造の、1階リビング・ダイニングスペース。まだお気に入りのソファーが見つかっていない。


通常なら間仕切りを施してプライベート空間を設けるが、ワンル ームにし、あえてログの構造体を見せているのが吉田流。それに合わせてベッドも丸太を使って作ってもらった。


唯一の個室がウォーキング・イン・クローゼット。ただし入口に扉はなく、アーチカットで仕切られている。ここには吉田さんのコレクションであるデッドストックやビンテージものの衣類がぎっしり。そのための棚も造り付けで依頼。


デッキに通じる掃き出し窓には、見せる要素も兼ねて格子入 りのタイプを注文。計画では木製建具を希望していたが、現 実性と機能性を勧められ、樹脂のものを採用した。吉田さん としては多少心残りかもしれない。






木の家vol.9より転載