山の近くに建てた念願のログハウス

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大きな山の近くに住みたい・・・
そんな願いに応えたログの家


いつかは山に住みたい…それがきっかけだった

 

森の奥の一角に、目指す輿石邸は建っていた。周囲の自然に溶け込むように仕上げられた外壁 の塗装と白い妻壁、そして大屋根を持つ外観は、まるでずいぶん前からそこにあるような印象を 与えてくれる。
「いらっしゃい!」。デッキのハンモックで本を読んでいた輿石さんが声をかけてきた。聞けば、ふ だんこのハンモックはお嬢さんの佳奈江さんの指定席。この日は晩秋の日射しに誘われて、お父 さんが占領することに…。

山梨県ご出身の輿石甲子夫さんは、小さいころから山を眺めて育った。しかし成長するにつれ 生活の基盤は都会へと移ったが、いつからか「やがては山に住みたい」と思い始めたと回想する。そのきっかけとなったのが山登り。 仕事のかたわら山岳会に所属し、山を楽しむうちに「終の住処は山の近く」と考えるようになったのだという。
「雪が少なくて近くに山があり、松本よりも北に位置するところ…、それが立地の条件でした。それと温泉があれば申し分なし(笑)」 具体的な土地のイメージができ上がったのは、3~4年前に燕岳を縦走したときだったという。そのとき穂高の自然に魅せられ、積極 的に土地探しを始めてこの地と巡り合った。

ひと目で気にいった土地と、設計事務所との運命的出会い
建物の具体的なイメージは、ただ漠然と「木づくりで」と思っていただけだったのだが、それが形になっていったのは、「建てるなら ログハウスで」という奥様のひと言だったという。
輿石さんと奥様の初江さんが知り合ったのは、やはり山岳会で。奥様の出身が埼玉県ということもあり、奥様なりの山への憧れがあ ったようだ。「私自身も木の家がいいと思っていたんです。あるときスイスに遊びに行って、そこで見た可愛らしい家のイメージがず っと残っていました。それがすこしずつふくらんでいって、主人が山の近くに住みたいと言ったときに、木の家に、ログハウスにと形に なっていきました」と話す奥様。だからログハウス建築を積極的に進めたのは奥様で、輿石さんはそれに誘われるようにイメージを 形づくっていったことになる。「でも、単なる別荘にはしたくなかった。今は都会で仕事をしていますが、やがてはここに永住する予定 ですから、ログハウスとはいえ、それなりの機能や間取りにしたいと考えました」と、輿石さんは補足する。
初めはログハウスらしく丸太の曲線を生かしたタイプを検討したが、住宅とするにはいささか抵抗があった。そこで角ログを使用し たマシンカット・ログハウスを選択した輿石さんご夫妻。さらに条件が一つ。「ロケーションのほかにこだわったのは、建築は地元の建 築家にお願いしたいということでした。メンテナンスのこともありますが、立地の状況を把握している建築家の強みが何よりも大事だ と思ったんです。これは何社かログハウスメーカーを検討して得た結論でした」
ある日インターネットで土地探しをしていた奥様。偶然ここ有明の地を見つけてすっかり気に入ってしまった。そしてご主人と何度 か足を運んでいよいよ契約。「いつもは車で来ていましたが、たまたまその日は電車を使ったんです。そうしたら駅前にログハウスの 設計事務所があるじゃないですか。まさかと思ってそこを訪ねたんです。そこが、ここを手がけてくれた高松建築工房さんだったんで す。不動産屋さんからも『穂高にも腕のいいログハウスの建築家がいる』と聞いていて、いつかは訪ねようと思っていたんですが、そ れが高松さんだったんです。なんだか偶然の出会いが重なった気がしますね」と奥様。そして「契約の日も車で来ていたら、果たして 高松さんと出会えたかどうか…。その意味では、ここに住むことは運命づけられていたのかもしれません」と言葉を続ける。
そんな出会いを果たした輿石さんご夫妻と高松建築工房の間で、永住を目的としたログハウスのプランが練られていった。「山の近くに住みたいがためにこの地を選んだわけですから、間取りの基本は山が見えること。それと、玄関から入ってすぐ吹き抜け 空間がほしかった」と話す。高松さんにとって山を眺めることができる間取りを考えるのはさほど難しいことではなかったが、希望す る位置に吹き抜け空間を作るとなると風除室が設けにくい。そこで玄関だけは在来工法のものを接続することを提案。おかげで外観 デザインに躍動感も生まれた。
またリビングと一体感のある和室には3連の障子を引戸として採用し、閉めたときでも明かりが透けるように工夫した。 「メーカーの考える家ではなく、輿石さんの家を建てる。それがここを設計する上でのテーマでした」



 1.リビングの吹き抜け空間。ロフトの桟を横に渡すことで、空間に広がりを 感じさせる結果に。 
2.山小屋風の開放感と、永住仕様の落ち着き感を 兼ね備えたリビング・ダイニングスペース。簡単な食事はキッチンカウンタ ーで、みんなで食事を楽しむときはリビングのテーブルを囲んで…と、使い 勝手のよさも考慮されている。 
3.キッチンからリビングを望む。和室の障 子を開けたときと閉めたときを比べてみたが、室内の閉塞感はさほど感じ ない。障子から明かりが透けるからだろう。対面式は奥様の希望だったが、 使い勝手の悪さと圧迫感を嫌って吊り戸棚は採用しなかったという。 
4. 客間としても使用される和室は、リビングとの一体感を大切にした。

 
5.ロフトのオープンスペース。いずれはここが、 輿石さんの書斎コーナーとして使われるのだと か。 
6.階段はリビングから延びている。キッチ ンとの境に壁を設けずに桟を立てたため、キッ チンが狭く感じることはない。安全性とともに意 匠的な美しさも表現されている。




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