| 木の家にこだわるからには木を選ぶことから始める |
Yさんご夫妻はフリークライミング歴10年。カヌーや釣りなどにも出かけるが、フリークライミ
ングは一人や二人でも気楽に楽しめるからいいという。
クライミングは、意外なことに子供から老人まで誰でもできる。子供は体重が軽い、男性は力がある、女性はバランスがいい、老人は経験がある、と誰でも平等に楽しめるスポーツなんです」。そんなアウトドア派のYさんが自宅を建て替えることになったとき、選んだのは当然のように木の家だった。
当初はフルログも考えたが、コスト的に厳しいことがわかった。室内の圧迫感も気になる。
最終的に決めたのはポスト&ビームだった。
メーカー選びも芳賀沼製作を気に入ったのは奥様だった。芳賀沼製作は会津にあるメーカーだが、東京に出張で来ていた専務が、飛んで来てくれたのだそうだ。話してみると、自分たちの思いが伝わったという実感があった。偶然ではあろうが、出会いとはそんなものだ。
話がまとまり、いざ設計となってから主導権を握ったのはご主人。自分のイメージどおりの家を実現したいとの思いから、毎日のようにファックスを送り、さまざまなアイデアを設計に盛り
込んでいってもらった。
ご主人は、芳賀沼製作の工房にも足を運んだ。たとえばキッチンの場合、まず奥様がシステムキッチンを選び、それに合ったカウンター用の木をご主人が選んで、カットする線も自身で
引いたという。
大黒柱と小黒柱にするイエローシーダー、赤松の梁、トチの一枚板のテーブル、上がり框なども、まずご主人が選び、その大きさや曲がり具合に合わせて設計した。だから、和室に敷く畳は既成のサイズでは合わず、木の曲がりに合わせて特注しなければならなかった。
普通は設計図に合った木を選ぶものだが、まるで逆の方法をとったのである。もとより、ダイナミックな柱や曲がり木の梁は芳賀沼製作の家の特徴の一つだが、Y邸ではそれらが実に生きている。自ら木を選んだYさんも、気に入らないはずがない。 |
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安心できるところなら子供はのびのびと遊べる |
奥様がこだわったのはキッチン。キッチンをオープンにし、階段も見えるようにした。 「子供は床を滑ったり、階段の隙間を通り抜けたり、いろんなところに登ったり、動き回りますからね。でも、そうやって伸び伸び遊んでいる姿を見ると、よかったなって思います。
以前の家は中古の在来住宅で、部屋が細かく分かれていたんですが、ここは子供が冒険できる家なんです」
カウンターの高さは、キッチン側が92センチ。一段高くなっている和室側は72センチで、ちょうど一般的なテーブルの高さだから、椅子に座ってカウンターに向かうこともできる。
ご主人が「ハード的にもソフト的にもうまくつながるように考えた」と言うとおり、機能的にもデザイン的にも、キッチンと和室とリビングがごく自然に融合している。感心するしかない。
「それと、家の中が明るいのもいいですね。雨の日でも明るいんですよ」。
大きな窓から太陽の光がたっぷり差し込む。フルログではここまで開口部を広く取れないから、ポスト&ビームにして正解だった。窓が大きいと室内の温室化が心配だが、断熱性の高
いガラスを使用しているので、今年の夏も暑くないどころか涼しくさえあった。窓を開ければ風通しもいいので、小さなエアコン1台で十分だったという。
ロフトのどこからか子供たちの楽しげな声が聞こえる。Yさんに、この家の住み心地をこれ以上聞く必要はなさそうだ。十分に家が話して聞かせてくれたから。 |
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