個性的な最新実例を満したログハウス専門誌

 
角材を使ったポスト&ビーム住宅でも、材の太さや加工方法で、ずいぶん印象が変わる。T邸の場合は「あまりロ グらしくしたくない」という要望があったため、スッキリとしたデザインが提案された。
 
建物の東面に設けられたデッキ。最初のプラ ンでは壁全面にデッキが計画されたが、そこま で必要ないということで3分の2まで切り詰め その部分をファイヤースペースとして利用。 おかげで建物全体に躍動感が生まれた。
 

   
上:キッチンとダイニング。白を基調としたキッチンと木質のコ ントラストが、この空間に清潔感を与えている。壁際の大きな 食器棚は造り付けのもの。
中:デッキを短くしたため可能になったファイヤースペース。吹 き抜け構造は室内の大きなアクセントになっている。
左:吹き抜け構造のおかげで明るく広々とした玄関。
 


 
角材を構造材に使うことで、スッキリとした印象に 
  新潟市の郊外に建つT邸はポスト&ビーム工法による住宅。ご主人によれば、以前から家を持つ計画はあったもの の、特にデザインへのこだわりはなかったという。そんなある日、奥様に誘われてログハウスの展示場に足を運んだ Tさんは、そこで目にしたマシンカット・ログハウスの住宅が気に入り、「我が家はこんな雰囲気で」と思ったのだ。と ころがそのメーカーのモデルハウスが少々ワイルド過ぎたため、同じような住宅を手がけているメーカーがないか と探し、本誌でもお馴染みの長野ログハウス建築設計(以下、長野ログ)に出会ったのだという。
 「ログハウスも魅力的ではありましたが、住み続けるうちに、その荒々しい雰囲気がうっとうしくなるのではないかと 思ったんです。長野ログさんに惹かれたのは、そのすっきりとした居住空間ももちろんですが、高断熱・高気密工法 で造られているという点。それが、お願いする大きな決め手になりました」と説明する。
 そんなTさんが最後まで悩んだのが、構造材を丸太にするか角材にするかだった。奥様と話し合い、プランは丸太 使用で進めたが、契約日の一日前に急きょ角材に変更。その理由をTさんは「結局丸太だと空間に無駄が出ると感じ たからです。別荘ならいいかもしれないけど、自宅なら角材のほうが飽きがこないと思いました。結果的に、その決 断は正解でしたね」と話す。

●外観デザインの特徴 
   Tさんからは「すっきりとしたデザインで」という要望があった。それを考慮して長野ログが外観デザインを提案。 それをさらにTさん自ら修正。設計の仕事に従事しているためか、CADを扱い馴れているがゆえの手直しだった。


●1階の間取りの考え方 
  最近多く見かけるのが、リビングとダイニングが一体となった空間。しかしT邸で採用されたのはリビングを独立 させた間取り。これは、「くつろぎの空間はそれだけで成立させたい」という希望から実現したもの。その代わりダイ ニングスペースはキッチンの中に収め、プライベート空間とパブリック空間を明確に分けている点が最も特徴的だ。リビングには和室が隣接している。これも最近のユニバーサルデザインの導入で仕切りをなくす例が多いが、ここ には小上がりを採用している。これが空間に変化を与えている。
 プランの中で気になっていたのが、デッキの広さ。当初は建物の東側全面にデッキが計画されていたが、そこまで 広い必要はないと、約3分の1ほどスペースを削り、そこを最初から導入を希望していた薪ストーブの設置場所にし た。さらにその空間を吹き抜けにすることで、室内に躍動感が生まれた。

 

 
●2階の間取りの考え方 
  2階は広々としたオープンスペースのほかに、主寝室と、奥様が経営する フェイシャルエステルームがある。

●採光と通風を大切にする 
  T邸で特徴的なのは、ほかの住宅に比べて小窓が多いこと。これは採光 性を高めるためと、通風を上手にコントロールするため。大きな窓を設ける よりも小窓を効果的に用いるほうが、意匠的にも際立つようだ。また、2階 のオープンスペースに面した掃き出し窓は、標準よりも大きなものを希望。 これがパノラマウインドー的な効果を生んで、とても快適だ。それらと呼応 するかのように、照明にも細やかな気遣いが見受けられる。聞けば、Tさん 自ら電気メーカーの照明プランナーに依頼したからだとか


●構造材の使い方
  「ログハウスっぽさを少なくしたい」という希望に沿って、丸太の印象を極 力出さないようにし、角材も面取り程度に抑えてある。それが、外観や室内 をスッキリとした印象に見せている要因なのかもしれない。
 

2階の1室は奥様のフェイシャルエステのための部 屋。「レモングラス」という名前で、予約制でお客様 を受け付けている。興味のある方は090-5315- 3994まで。水曜日はアロマテラピーも行っている。