奥様のリードで始まったハンドカットログ物語
石川県加賀市山中温泉といえば、全国にも知られた有名な温泉街。この温泉街の中心から少し離れた閑静な住宅街の中に、白岩さ
ん夫妻のハンドカットログが建っている。
夫妻がログハウスを建てようと思った動機は、ちょっとユニークだ。当時宅配便のドライバーをしていたというちょっとガテン系な
奥様は、ログハウスビルダー・木彩工房へ荷物を届けることがあったそうである。その時に木彩工房の辻さん宅や事務所のログハウ
スを見ていて、すごく気に入ったとのこと。「家なんか何でもいい」という考えだったご主人の和夫さんによると、「ある日突然、テー
ブルの上に大量のログ雑誌が積まれていてびっくり」したそうだ。キャンプ場などでログハウスを見かけることはあっても、自分が住
むことはまったく想定していなかったのだ。夫妻はともにアウトドア好きであり、ご主人のほうもやがてログハウスの魅力に取り憑か
れていった。木彩工房についてもその後ログハウス雑誌で改めて知り、土地も辻さんに紹介してもらい、問題は予算が厳しかったこと
。後付けできるものは徹底的に削除することになった。ご主人は薪ストーブを希望していたが、これも余裕ができてからということに
なり、ウッドデッキも後でセルフビルドすることにした。レッドシーダーのハンドカットログで建てるという線だけは譲れず、予算削減を
いろいろ検討したそうだ。木彩工房の辻さんも、計画実現のために相当苦労したとのこと。こうして2005年の9月にログ材が搬入さ
れて、建築工事が始まった。
夫婦で工事の手伝いに参加
木彩工房では、施主にも積極的に工事へ参加するように求めている。せっかくの家作り、それもハンドカットのログハウスなのだか
ら、家に対して思い入れを持って欲しいという、気持ちがある。夫妻も、もちろんこれには賛成で、積極的に手伝うことになった。時に
は実家に長男を預けて、夫婦で作業に出ることも多かった。作業でも、奥様が大活躍。奥様は外壁のサンダー掛けをすべて担当して
いる。ご主人は高い所があまり好きではないので、もっぱら塗装を担当していたそうである。週末を作業にあてること、2ヶ月に及ん
だ。12月に完成し、念願のログハウスライフが始まった。レッドシーダーのハンドカットログで、2階建て。周辺に住宅があるけれど、
畑も多い。やや高台にあるので、2階デッキからの眺望はなかなかのもの。
木彩工房のログハウスは、軒の張り出しを大きくしているのが特徴。白岩邸も軒が2mほどせり出している。辻さんによると、軒を
深くすることでログハウス本体に雨と紫外線が直接当たるのを防ぐと、建物が長持ちする。雨は木を腐らせる原因になるし、紫外線は
木や塗料の劣化を進行させる。もうひとつの特徴が、建物にアンテナを建てないようにしている。外観をすっきりさせるためである。
電線も直接ログハウスに引くようなことはしないそうである。
次の目標は薪ストーブ、白岩さんの夢はまだまだいっぱい
玄関に入ると目につくのが上がり框。ここにはトチノキが使われている。トチノキは実が栃餅の原料として知られる木だが、緻密で
軟らかく、木目が美しいことから床板などに使われることがある。?
間取りはいたってシンプルで、洗面所やトイレ、ユニットバス以外に間仕切りはない。しかし階段の位置だけは「玄関から直接階段に
上がるような構造は良くない。帰ってきた家族が必ずリビングを通り、顔を合わせるようにしたい」というご主人の希望で、現在の位
置にしたそうだ。またキッチンから部屋全体を見通したいという希望を持っていて、キッチンにいながら子どもに目が届くのは安心感
があるという。片隅には畳コーナーがあり、目の細かい琉球畳を敷いてある。畳コーナーに面した窓のカーテンレールは、ただの木
の枝だ。たまたま見つけた木の枝を、「カーテンレールにしてみようか」という軽いノリで取り付けてみたらしい。意外に雰囲気出て
いるのは、ハンドカットのログハウスだからであろうか。階段部分はダグラスファーを使っている。2階の間仕切りは1枚だけ使い、棚
などは簡単に分解できるようにしてある。将来子どもが大きくなった時のために、いつでも3室に改造できるように考えた。2階には
デッキがあり、ここからは山中温泉の町並みと山々の連なりを眺望できる。
白岩さんに今後の計画を聞いてみると、筆頭に上がったのは薪ストーブ。すでにログハウスの外壁には、かなりの量の薪が積み上
げてある。準備万端で薪ストーブ設置のタイミングを待っている。予算の関係で後回しにしたものは多いけれど、その分、家作りをま
だまだ楽しめるから、結果的に良かったのかもしれない。
|