遊び心にあふれた都会派P&B




独自の構造を取り入れた、遊び心のある空間

 シンプルでありながら上品な木質感を漂わせる住宅がある。淡いクリーム色の外壁と落ち着いた色に仕上げられた丸太の柱。その コントラストが、周囲の住宅に負けない個性を発散している。それが嫌味に映らないのは、やはり設計の力に負うところが大きい。トウメイハウスがこのほど発表した都会派ポスト&ビーム住宅「セレニティ美浜」は、「木質感は魅力的だが、仰々しいのは敬遠」した いと思っている二十~三十代の夫婦を意識して設計されたもの。 モデル名に冠された「セレニティ」とは、同社が契約しているカ ナダのログハウスメーカーの名前。ここに使われている構造材の丸太がセレニティ社から供給されることから名付けられた。
  知多湾に面した美浜町にその「セレニティ美浜」のモデルハウスが建っているというので訪ねてみた。案内されて足を踏み入れた1階の居住空間で目を惹くのが、吹き抜け空間が気持ちいいリビング&ダイニング。白壁と腰壁の調和、 頭上を走る丸太の柱など、軽快感とともに居心地のよさも感じられる。
  そんな空間について、トウメイハウス企画室のデザイナー、田中孝則さんは、「自由な家具レイアウトを楽しめる空間を意識して設計 しました」と語る。その言葉どおり、どこにどんな家具を置くかを考えるのが楽しくなりそうだ。その理由の一つが、独立型キッチンの 存在。「最近ではダイニングスペースと対面する形でカウンターを設け、その向こうがキッチンというスタイルが主流です。しかし、 その場合ダイニングとなる場所がカウンター前と限定されてしまいがち。そこで、あえてキッチンを独立させることで、それぞれの空 間の使い勝手を向上させようと試みました」独立型のキッチンについては、「孤立感があるのでは」という疑問も出そうだが、ダイニングスペースとの境に扉を設けずオープン にしてあるので、家事をしているときでも家族の様子をうかがうことができる。そのキッチンの隣は納戸。開口部をキッチン側に追 加すれば、ダイニングからだけでなくキッチンからも出入りできるパントリーにもなる。
  一方リビングスペースの吹き抜け空間で特徴的なのが階段。華奢に見えるが鉄製の頑丈なもので、木質空間の効果的なアクセント になっている。階段の上がり口が緩やかなカーブを描いているので一見回り階段のように錯覚するが、スタイルは直進階段。この緩 やかな曲線が、なんともいえない優しさを漂わせる。キッチンの前をダイニング、吹き抜け空間をリビングと限定せずに、メインリビング、セカンドリビングといった考え方も十分可能な融 通性が、この1階居住空間の大きな魅力。その意味では、合理性と遊び心が見事に融合している。
  階段を上がると、そこはプライベートルームが集中する空間。ホールで存在感を示すのが、太い丸太を使った柱と梁の構造美。天井 高をたっぷり取っているため、太さの割には圧迫感はない。1階は白壁と腰壁を組み合わせたが、2階はすべて白壁。
  ここ「セレニティ美浜」では、2階に3室の独立した部屋を用意しているが、構造に支障がなければ部屋の間取りを変更することも可 能。夫婦二人だけの生活を楽しみたければ、個室は広い主寝室と書斎のみとし、ホールを大きくすることも考えられる。あるいは主 寝室のみ個室とし、子供の数に応じて間仕切り自由な空間として残すといった工夫もできそう。
  トウメイハウスが独自で開発した壁体内空気層は、土台や梁の加工に工夫を施すことによって壁の中の空気の流れをスムーズにし、 軒天井まで換気でき、雨仕舞いも容易になった。ここでご紹介した「セレニティ美浜」はモデルハウスとして現在一般公開中だが、間 取りは好みに応じて変更可能な自由設計を採用。冒頭で「若い夫婦を意識した設計」と述べたが、もちろん熟年層でも満足できる質 感を持っている。機会があれば、ぜひ一度足を運び、その目で実際にご覧になってはいかがだろう。



ダミー画像

1)美浜町の住宅地に建つ「セレニティ美浜」。都会派ポスト&ビーム住宅のコンセプトどおり、ダイナミックでありながら落ち着いたたたずまいが特徴。この 物件は、土地付きで販売中。 
2・5)1階のリビング&ダイニング。自由な家具レイアウトができる合理的空間だ。吹き抜け空間で目を惹くのが、手摺りが緩 やかなカーブを描く階段。梁と梁の接合部を補強する火打ち梁も、空間のアクセントとして欠かせない。 
3)ポーチ部分。柱と梁の接合部を強化している ブレース(方杖)と呼ばれる部材が、空間にアクセントを与えている。材はカナダ産の末口35センチのダグラスファー。この材を供給しているメーカーがセレ ニティ社。そして建物の建っている場所が美浜町。そこで「セレニティ美浜」のモデル名が付けられた。 
4)2階ホール。ポスト&ビーム住宅らしい柱と梁 の構造の小屋組が、暮らしに安心感を与えてくれる。腰壁に設けられた小窓には木の小枝 がはめ込まれ、ここから差し込む光が床面を優しく照らす。採光が不足がちになる空間にも、 このような配慮が行き届いている。 
6)1階にある和室。落ち着いたたたずまいだ。床の間 の上に設けられた格子の空間は、エアコンを収めておくところ。こんな気配りもうれしい。
7)2階には、主寝室のほかに居室が二部屋。どちらも収納が充実している。

ログハウスDATA

●延べ床面積:121.62  1階66.25  2階55.37 
●デッキ(バルコニーなど含む):0.62 
●主構造材の種類:ダグラスファー
●構法の種類:軸組み構法(ポスト&ビーム)
●基礎の種類:ベタ基礎 
●屋根材:カラーベスト
●外壁材:サイディング(弾性リシン仕上げ)
●内壁材:ビニールクロス 
●天井材:ビニールクロス、パイン
●床材:バーチ
●総工費:2400万円
●工事着工年月:2005年12月
●完成年月:2006年6月
●設計企業:GOKISO DOJO
●施工企業:(株)トウメイハウス
●建物使用目的:住宅




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