個性的な最新実例を満したログハウス専門誌
   


トムトム湖畔に面して立つ4名用コテージ「リスの森」。隣のログハウスのゲストと顔が合わないよう、前後にずらして建てられている。 12名用コテージと合わせて全29棟のコテージは、すべてフィンランドの職人が施工した。
北海道はログハウスの本場のカナダやフィンランドに気候風土が 似ている。豊かな自然、のびやかな風景、そして厳しい寒気。そこは ログハウスの魅力が際立つ最高のステージ。 苫小牧では“森の宝石”と呼ばれるシルバーパインのログを訪ね、 さらに道中で出合ったすばらしいログハウスの数々。そんな北の国 で出合ったログハウスを紹介しよう。
   


コテージのバルコニーで楽しむ朝食。森と湖を眺めながら、そして野鳥 のさえずりをBGMに。和・洋から選べる
ディナーは創作フレンチ、創作和風料理、炭火焼の3つから選べる。彩り豊か な北海道ならではの食材が用意されている。
     
北海道の大自然を借景にした、こころ洗われるホテル
 湿原に野鳥が遊び、美しい針葉樹の森に湖が点在する勇払原野。新千歳空港から車でわずか20分、 そのいかにも北海道らしい雄大な自然の中に、ホテルニドムはある。ニドムとはアイヌ語で“豊かな森” の意。広大な敷地は実に約500万m2に及ぶ。アプローチからホテル入口まででさえ1・5kmの距離。そ の懐深い森に自然の地形をそのまま生かしたゴルフコースや、樹間、そして湖畔に建つコテージ群、威 厳をたたえた2つの教会やテニスコート、プール、レストランが点在する。コテージは4名用の「リスの森」が25棟、12名用の大きなコテージ「鷹の巣」が4棟。どれもマシンカット の端正なログハウスである。このコテージ群に使われているログ材は、フィンランドの北極圏から切り出 したポーラーパイン。このログ材は繊維が密集して年輪が密なため、弾力性と耐久性に富んでいる。コ テージが建つのは静かな湖面をたたえたトムトム湖周辺。湖には“幻の魚”イトウが放流されている。 湖畔には針葉樹にまじって、ブナやシラカバ、モミジなどの広葉樹も茂る。
  トムトム湖に清冽な水を注ぐ渓流が瀬音を響かせ、樹間に野鳥の声が響き渡る。心休まる自然の風景 を前にしたコテージライフが、ニドムが誇る最高のもてなしなのだ。食事はルームサービスの利用が粋だ。このコテージには隠れ家的な趣もある。
 
悠久の時間を経て蘇ったシルバーパインの教会
 ニドムには2つの教会がある。ログハウスの本場・フィンランドで最高級のログ材であるシルバーパイン 材をふんだんに使ったログハウス「ペレカムイ教会」「フィデスペルペテュア教会」。こちらは石で作り 上げた教会だが、礼拝堂にはシルバーパインの太い梁が天井を巡っている。シルバーパインとは、落雷 などで立ち枯れたパインの巨木が、何百年もの間北極圏の氷の中に閉じ込められた、いわば木の化石 である。フィンランドでは森の宝石≠ニ呼ばれ、現在口径の太いシルバーパインは入手困難になって いる。
  ペレカムイ教会は当初は貴賓室として作られた、6ベッド ルームを持つ、ハンドカットで組んだ大きなログハウスで ある。かつて故レナード・バーンスタイン氏はこのログハ ウスに1ヶ月滞在し、「ニドムを讃える歌」の主旋律を作 曲した。よほどこのログハウスが気に入ったのか、楽譜 には「心の安らぎと憩いを求める人が、多く訪れることを 信じます」というメッセージを書き残している。礼拝堂に 置かれたグランドピアノは、バーンスタイン氏が残してい ったものだ。その後このログハウスは1995年にチャペ ルとして利用され、今では年間300組のカップルがここ で挙式をあげている。
  水辺の風景と自然林に溶け込むようなコテージ群と、悠 久の時間を経て蘇ったログハウス。ホテルニドムは、建 築と自然の見事な共生を実現した、安らぎに満ちた極 上のリゾートである。

12名用コテージ「鷹の巣」は広々としたリビングが開放感たっぷり。ワ インセーラーが常備されソムリエも常駐する、山小屋のイメージとは異 なる贅沢で豪華な空間だ。各コテージにはニドムのシンボルでもある 羊の木彫作品が置かれている。
 

フィンランドからシベリア鉄道に揺られてやってきた、半ば化石化して銀色になったシルバーパイン。北欧で今も生産されるレッ ドウッドをシルバーパインと呼ぶこともあるが、この化石化したシルバーパインは簡単に入手できない。節を落とさず、口径の 異なるログを積み上げる技術には目を見張る。樹齢数百年、さらに氷付けにされて数百年。その悠久の時間の重みが、ログか ら醸し出されている。