個性的な最新実例を満したログハウス専門誌
   

白馬山麓の自然に抱かれて建つネイチャーハウス。 すぐ裏手を流れる沢は夏は緑の葉を濡らし、冬は雪に包まれながら、小枝を運んでくる。
 


 
 
1.工房の奥に作られたキッチン。沢の水を汲んでここで淹れるお茶は、まろやかでやさ しい味。左手の木の枝の取っ手が付いた扉はバスルームの入口。
2.玄関のテラスからもあふれる自然を肌に感じられる。
3.奥様の祐子さん。さすがにごく自然にアクセサリーを身に着けて、祐子さん自身が雪 の中の小枝のよう。実は寒さが大の苦手だそうだ。
4.パソコンを使ってホームページのデザインの仕事もする。
5.いくつものテーブルと壁に並べられたアクセサリーたち。
6.工房の展示スペース。太い梁から吊されたブランコもある。
7.階段を上がると、祐子さんと二人暮らしの居住スペース。
 

長野県白馬村みそら野は、別荘やペンション、小さくてしゃれた店の建ち並ぶ一角。 このエリアの最も奥、その先はもう建物のない場所に、クラフト工房「ネイチャーハウス」がある。ネイチャーハウスは、鴨田さんが地元の大工さんの力を借りながら自作した、ハンドカットのログハウスだ。青い三角屋根が目を引く。はじめから工房を 開設するつもりでこのログハウスを建てたわけではなかった。休日に訪れる隠れ家の つもりで作ったが、いつの間にか、住みはじめていた。
 
白馬村別荘地の最奥に建つ自作のログハウス工房
 鴨田さんは、デザイナー、フォトグラファー、コピーライターといった職歴を持つ。 仕事の関係でたびたび訪れていた白馬の自然に惹かれて、ここにログハウスを建てる ことにした。豊かな自然環境にいちばん似合う建物だからだろうか、白馬にはログハ ウスの別荘やペンションが多い。
  親しくなっていた地元の大工さんの協力のもと、基礎作りから開始。すぐに大工さん の信頼を得て、ほとんどの作業を一人で任されたそうだ。初めて自力で作り上げたのは、 ウッドデッキだった。自力でログハウスを建てる手応えを感じた。順調に進む作業の中、 苦労したのは雪の中での作業だったそうだが、スキー場で有名な白馬の積雪量を考えれ ばその大変さは想像に難くない。そんな条件の中で作業を続けること自体が、ログハウ ス作りに熱中していた証だろう。
  鴨田さんが流木に出会ったのは、ログハウスの建築中のことだった。建物のすぐ裏手 を流れる沢は、白馬の川の源流域で、人工物にまみれていない澄んだ水を運んでいる。 その流れを眺めているときに、沢の岩にひっかかっている小枝が目にとまった。小枝は 細く長く、下流では見ることのない、まだ木から落ちたばかりの形をとどめている。そ の小枝を見つめているうちに、自然のままの姿のこの枝で何かを創れないだろうかと考 えるようになったという。
ログハウスは、一年の作業期間を費やして、1991年に完成した。
 
風呂上がりに清流で涼み、沢水でお茶を淹れる。 自然と遊ぶライフスタイル
 ログ材は直径30〜40cmのダグラスファー。中へ入って見上げると、太い梁の上は、天井 を張らずに2階の床をそのまま見せている。ハンドカットログの魅力が充分に生かされ た作りだ。
  現在は1階が工房の展示スペース、2階が住まいになっている。工房を開設したのは 1993年、東京での生活をすべて引き払い、ログハウスに住むことにしたのは96年だ。 小枝のアクセサリーは、ここで販売される他、自分で手作り体験をすることもできる。
  流木を一年間乾燥させ、磨き上げたアクセサリーは、ふんわりと驚くほど軽く、身に 着けると自然そのものが体に触れる感覚が心地よい。一本一本が違う形をした枝は、そ れぞれ最も美しいアクセサリーに創り上げられる。ネックレスの表裏、ピアスの左右も 創るときに決まっている。色も濃いもの、薄いもの、赤みを帯びたものなど、見ている と小さな自然の世界へ引き込まれていく。
  裏手に流れる沢は、今もその清らかさを保ち続けている。鴨田さんは夏は風呂上がり に裸のままウッドデッキに出て、沢を眺めながら涼むという。沢の水はそのまま汲んで お茶を淹れると、まろやかで甘みのある味になる。 都会での暮らしをリタイアし、自然を享受して生きるライフスタイルへと、舵を取り 直した。小枝から発信される創作活動に、これからも注目し続けていきたい。
 
ネイチャーハウスを訪ねてみませんか
白馬村の別荘地、みそら野の最奥を訪ねれば、ハンドカットのセルフビルド・ログハウス と、流木から創られたアクセサリーに出会える。工房ではアクセサリーの展示・販売の他、 手作り体験も行っている。
●ネイチャーハウス
[電話]0261-72-7505
[住所]長野県白馬村みそら野最奥
[営業]9:00〜日暮れまでオープン/無休
 
ログハウスに住むVOL.3より転載