昼からは自分の時間、流行の言葉でいうとロハスの生活。
サービス関連の仕事に従事し、57歳で退職した黒澤さんは、会社の旧四賀村出身者を通してこの場所を知った。田舎暮らしに興味
を持っていた黒澤さんと奥様は、さっそくインターネットで情報を収集し、個人説明会に参加。「滞在できるクラインガルテンって意
外に少ないんですよ。その点、ここは設備もきちんと整っているから、抽選に当たって本当に感謝してるんです。何より、信州は雰囲
気もいいし、珍しい花も多いしね」。
押し花作家として活躍している奥様にとって、山野草が身近に咲いている四賀は理想的な環境らしい。休憩小屋として使われるログでの生活も快適だ。1階には1間とキッチン、バス、トイレが付き、2階にはロフトが備わる。こぢんまりと
した作りだが、不自由を感じることはない。夏には窓を開け放して涼をとり、冬はストーブ1台で暖をとる。黒澤さんはここで朝5時には起きて、庭の作業に取りかかる。
昼前には作業を終えて部屋に戻り、本を読んだり、料理をしたり、モノを作ったりする。農作業の合間には、奥様と一緒に近くの山を巡
り、花の採集も行う。春には山菜、秋にはキノコが採れる裏山もお気に入りの場所だ。
1年間かけて菜園の土ならしに時間を費やした、今年は花や作物の実りが多い。今は農作業をするのが楽しくて仕方ないという。
「最初、朝8時ぐらいに作業を始めたんだけど、そうするとピークが真昼になっちゃうの。早朝から作業を始めて、一番暑い時間帯を
避けるというのは、ここの地元の人から学んだんです。すごく合理的だなと思いましたね」。
黒澤さんをはじめ、クラインガルテン利用者と地元の人たちとの交流は活発だ。農作業では地元民から指導を仰ぎ、季節の行事やお
祭りといった地元のイベントにも積極的に参加する。
菜園だけでは物足りなくなった黒澤さんは、現在、地元の人を手伝って、クラインガルテンの仲間とともに、田んぼと蕎麦畑を使った
無農薬農法による米と蕎麦作りに挑戦している。水の管理から刈り入れまで初めての経験ばかりだが、何もかもが新鮮で面白いとい
う。「こういうところで生活していると、何かしら作りたくなっちゃう。自然の中にある材料を使って自分でモノ作りすること。それがこ
こでの暮らしを楽しむコツかな」。四賀と横須賀で月の半分を交互に暮らす生活だが、近頃では、奥様が信州への移住を真剣に考え始めているという。クラインガルテ
ンをきっかけに、田舎への永住を決意する人も少なくない。
庭での農作業を終えたあとは、目の前に広がる山々を眺めながら一服するのが一番の楽しみだ。信州の青く高い空の下、黒澤さんの
悠々自適な日々はまだまだ続く。
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